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近視と見かけ上の
近視について

近視は、遠くのものがぼやけて見える状態ですが、時には真の近視ではなく、一時的に近視のように見える「仮性近視」と呼ばれる状態になることがあります。
これは、水晶体の厚みを調整する毛様体筋が過度に緊張し、水晶体が厚くなることで、焦点が網膜の手前に結ばれるためです。
仮性近視は、神経の病気や薬物の影響、外斜視、または長時間近くのものを見続けた後などにみられます。
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検査
視力検査
視力検査には、裸眼で行う「裸眼視力」と、眼鏡やコンタクトレンズを使って測定する「矯正視力」があります。
特にお子様の場合、ピントを合わせる力(調節力)が強いため、実際よりも近視が強く測定されることがあります。
正確な視力検査を行うために、調節力を一時的に麻痺させる点眼薬を使用します。
屈折検査
屈折検査は、近視や遠視、乱視の度数を測定するための検査です。
検査では、装置の中に浮かぶ遠くの気球を見ることで屈折値を確認し、そのデータを元に視力検査が行われます。
角膜形状解析検査
角膜の表面を詳しく測定する検査で、角膜の形状や不正乱視を検出することができます。
一人ひとりの目の状態に合ったコンタクトレンズを選ぶために非常に重要な検査です。
光眼軸長検査
眼球の前後の長さ(眼軸長)を測定する検査です。
強度近視の人は眼軸が長くなる傾向があり、この検査によって近視の進行具合を評価します。
もともとは白内障手術の際に用いられる検査ですが、近視の進行を抑えるためにも重要な検査です。
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治療
メガネやコンタクトレンズによる矯正
メガネやコンタクトレンズは、レンズを通じて目の焦点を矯正し、遠くのものがはっきり見えるようにします。
メガネは手軽に使えるため、近視治療の第一選択として広く用いられます。コンタクトレンズは、外見を気にする方やスポーツをする方に好まれますが、定期的なメンテナンスが必要です。
オルソケラトロジー
オルソケラトロジーは、夜間に特殊なコンタクトレンズを装着して寝ることで、角膜の形状を矯正する治療法です。
日中は裸眼でも視力が維持され、特にお子様の近視の進行を抑えることができるとして注目されています。
手術を伴わないため、手軽に実施できる治療であり、特に早期の近視進行を防ぎたい方に有効です。
ミドリンM
ミドリンMは、アトロピンを低濃度で配合した点眼薬で、主にお子様の近視進行を抑える目的で使用されています。
アトロピンは瞳孔を拡げる働きがありますが、低濃度では副作用が少なく、安心して使用できます。
夜間に点眼することで、目の筋肉をリラックスさせ、近視の進行を遅らせる効果が期待できます。
マイオピン
マイオピンも同様に、低濃度のアトロピン点眼薬で、特に近視の進行が早いお子様に対して効果的です。
マイオピンは、アトロピンの効果により、目の焦点を調整する筋肉を緩め、目が過度に働くことを防ぐことで、近視の進行を抑制します。
副作用も少なく、長期的な使用でも安全とされています。
レーシック手術
レーシックは、角膜をレーザーで削り、近視を矯正する手術です。
手術は短時間で行われ、回復も早く、裸眼での視力を取り戻したい方に適した治療法です。
適応が限られるため、事前の検査が必要です。
角膜の厚さや目の健康状態によっては、レーシックが適用できない場合もあります。
ICL(眼内コンタクトレンズ)
ICLは、レーシックができない方や、角膜を削る手術に不安がある方にとって有効な治療法です。
目の中にレンズを挿入することで、角膜を削らずに視力を矯正します。
ICLは取り外しが可能で、将来的に視力が変化した場合にも対応しやすい特徴があります。
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定期的な検査が必要な理由

学童期に近視が進行しても、多くの場合、失明の原因となる病的近視に至ることはほとんどありません。
しかし、最近の研究では、病的近視に至る患者様には学童期に特有の眼底異常が見られることがわかっており、学童期の近視と病的近視は別の疾患である可能性が示唆されています。
このため、強度の近視があるお子様には、定期的に眼底検査を受けることを推奨します。
成人になると、強度近視の方は、視野が狭くなり視力が低下する緑内障や、物が歪んで見えたり視力が落ちたりする黄斑変性症、さらには視力に重大な影響を及ぼす網膜剥離を引き起こすリスクが高まります。
これらの疾患を早期に発見し、適切な治療を行うためにも、定期的な眼底検査が非常に重要です。